2010年 07月 18日 ( 1 )

まず、画像をご覧下さい。2冊とも「星と話そう 宇宙今昔物語」なのですが、左側は昭和48年2月10日発行の第1刷、右は同じ年の11月1日の日付の第2刷です。第1刷の装釘は漫画家の鈴木義司さん(1928-2004年)で、第2刷の装釘は上田晃郷さんです。(本体の表示ではどちらも装釘者は鈴木義司さんになってます。カバーを除くと表紙はどちらも鈴木さんの同じイラスト。つまり、カバーだけ変えたようです。)
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初版を発行したのち、本の内容の一部を書き換えたり、図版を差し替えたりの改訂版などでは装釘を変えるというのはよくあることです。また、最初の発行からある程度年数を経たときなど、内容は変わらずとも装釘を変えて新装版として発刊するということもよくある話です。

しかし、本日の「星と話そう 宇宙今昔物語」は、初版から一年もたっていないうちに最初とは全く違うデザインです。しかもまだ2刷で、本の内容構成は全く同じです。非常に稀なケースとは言いませんが、普通はこのくらいの間隔では、そうそう変えないものです。

過日、書誌学者の林望さんの「一日限りの書誌学講座」を聴講する機会がありました。予定時間を大幅に超えての熱の入った講義で、皆さん熱心に聞き入っていました。ひと通り講義が終わったのち、私は「プロの書誌学者は年代的にどのくらいまでを対象とするのか」を林先生に問いました。

林さんは「区分を設けるのは非常に難しく、場合によっては明治・大正頃まで調査するが、一応、百万塔陀羅尼(奈良時代・現在確認されている世界最古の印刷物)から江戸時代までを扱います。」と答えてくださいました。

予想通りの答えで、膨大な書物の量を考えれば江戸時代までが妥当なところでしょうが、実際、古書を扱っていて明治・大正はおろか、昭和20年代30年代でも書誌学的に見てすでに分からなくなっていることはたくさんあります。

本日の「星と話そう 宇宙今昔物語」の表紙の違いを書誌学的にうんぬんするのは、あまりにも大げさですが、ちょっとした違いを見つけ出すことも書物を物質として保持する行為において、ささやかな楽しみのひとつであります。

星と話そう 宇宙今昔物語
著者:宮本正太郎
装釘:鈴木義司
本文カット:宮本由紀子
発行日:昭和四十八年二月十日 第1刷
    昭和四十八年十一月一日 第2刷
発行所:PHP研究所
定価 580円
13×19cm/263ページ
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