2010年 07月 14日 ( 1 )

降り止まぬ雨のなか、我が家から車で10分たらずの閑静な住宅地にお住まいのリュート奏者大竹さんのお宅にお邪魔しました。

さっそく玄関脇の書斎にてひとしきり書物談に耳を傾け、続いて奥にあるもう一つの書斎で、いつもながらにとても美味しい珈琲を頂きました。二つの書斎とも四方壁面はすべて書物で埋まっていて、書籍が放つエネルギーに圧倒されるのですが、物質的にこちらに迫ってくるというのでは無く、書物に暖かく包まれているというような感じでとても居心地のよい空間となっています。

大竹正祥さんは、リュート奏者にして「大乃井音楽図像学研究所」を主宰する図像学の研究家でもあります。玄関脇の書斎には、山岳や篆刻や書道、お茶、料理、映画や紀行の本などさまざまなジャンルの書籍が並び、ご興味の範囲の広さを示すに十分な蔵書の数々ですが、奥の書斎は雰囲気が一変して、専門分野の書籍に埋め尽くされています。

ヨーロッパ中世の宮廷音楽の専門書や楽譜をはじめとして、神学、神話学、神智学、哲学、暗号学、中世思想史、建築史、美術史、そのほかデモーニッシュな本、本、本に理趣経解説書など仏教関係書に古事記、日本書紀、中世説話集、等々々。すべて、図像学研究のための参考書だそうです。
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どの本も圧倒的存在感を放っていますが、まったく息苦しさを感じさせないのは、装釘も含めてこれらの本の質の高さと体系的に集められていることにあると思います。そして、空間にみたされた珈琲の香りとやさしいリュートの調べ。至福のひと時でした。
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画像は、大竹さんの蔵書の一部でドイツ後期バロック時代のリュートの作曲家・奏者シルヴィウス・レオポルト・ヴァイス(1687-1750年)のタブラチュアと呼ばれる記譜法で書かれたリュートの手稿譜、つまり、手書きの楽譜で、「ドレスデン手稿譜」と呼ばれるもの。

五線譜ではなく六線譜に書かれ、弦を押さえる指のポジションが記号によって表示されている。
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第二次大戦のドレスデン爆撃の難を逃れた譜面のファクシミリ版(作曲家の自筆譜や初期の版をそのままコピーしたもの)です。
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