2010年 07月 11日 ( 1 )

さて、ようやく天稚彦のもとへたどり着いた姫は再会を喜び合うのも束の間、人間をこころよく思っていない天稚彦の父(実は鬼ですが)によってさまざまな試練を与えられます。(ここのところは、竹取物語の姫と求婚者たちの試練の逆パターンですね)

次々と鬼父から難題を与えられるものの、天稚彦の魔力に助けられてどうにか切り抜けてゆきます。
さすがの鬼父も二人の結婚を許すのですが、二人が逢うのは月に一度限りと言い放ちます。姫はたいそう喜びましたが、間の悪いことに「年に一度」と聞き間違います。意地の悪い鬼父は「そうだ。お前がそういうなら、年に一度だ。・・・そうれ!」と瓜をとって投げつけるとたちまち天の川が現れて二人をへだててしまうのです。
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以来、天稚彦と姫は年に一度、七月七日の夜にしか逢えなくなったのです。・・・ということで、場面は鬼父の投げた瓜が流れてゆくところですが、このウリ、普段見かけるマクワウリなどの熟した黄色のイメージには描かれていません。熟したものを食べるウリではなく、奈良時代からある「冬瓜(トウガン)」の一種「加茂瓜」と呼ばれる漬物用のウリなのでしょうか。

なお、今回の「田辺聖子のたなばた物語」に掲載されている絵は、室町時代に描かれた「天稚彦草子絵巻」を手本にして、江戸時代の初めの頃に描かれたものだそうです。
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お伽草子 たなばた物語
文・田辺聖子
絵・天稚彦絵巻(サントリー美術館蔵)
監修:古市貞次
解説:宮 次男
発行:集英社
発行日:昭和57年12月8日 第1刷
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