2010年 07月 10日 ( 1 )

七夕はとうに過ぎましたが本日は「お伽草子」のなかから七夕の起源を説いた「天稚彦物語(あめわかひこものがたり)」です。

お伽草子とは、室町時代から江戸時代にかけて成立した絵入りの短編物語で、現在までに約500点残されています。しかし、同じような内容の物語もあるので物語の数は精確にはわからないそうです。

天稚彦は「古事記」や「日本書紀」に天孫降臨に先立って天上界から下ってきた貴公子として登場しますし、平安時代の「宇津保物語」「狭衣物語」などにも出てきます。物語の内容はそれぞれ違いますが共通していえることは、いずれも天界の貴公子という点で、平安時代にはすでに天稚彦のイメージは出来上がっていたと思われます。

「天稚彦物語」を絵巻に仕立てた「天稚彦草子絵巻」の制作は室町時代ですが、物語の原形となるものはそれ以前からあったもので、天稚彦と天界の結びつきに中国伝来の七夕伝説が重なり、天稚彦とその姫(地上界の住人、人間です)を主人公にした七夕起源の物語が成立したようです。しかし、内容は「牽牛」「織女」の物語と大きく異なっています。

詳しいストーリーは他に譲るとして、ここでは天上界に戻った天稚彦を姫が尋ねてゆく場面をご覧ください。天上界にたどり着いた姫は、白い狩衣を着た少年に逢います。しかし少年は天稚彦の居場所を知らないといい、あとから来る人にお尋ねしなさい、言います。名前を聞くと「宵の明星です」と答えます。画面の下の雲に乗った少年です。
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しばらく行くと三人の少年に出会います。姫は同じように尋ねますが、やはり知らないといいます。三人はそれぞれ箒を持った美少年に描かれていて、名前を尋ねると、「ホウキ星です」と答えます。

次にたくさんの人に逢いますと彼らは「すばる星」と名のります。

・・・・、ということで、箒星(彗星)のギャグをお楽しみ頂いて次回に続くのですが、この「ホウキ星」、ホウキ星だからホウキを持っている、というたんなる言葉遊びではなく、ホウキ(箒)の古語というか元語が「ハハキ(蛇木)」であることを思うと、死とか霊界・異界、そして生命再生を暗示させるものとして描かれていると解釈しても良いのではないでしょうか。

続きます。
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