人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ビルマの「虎の星座」 2022年1月1日 あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
ビルマの「虎の星座」    2022年1月1日 あけましておめでとうございます。_d0163575_12542223.jpg
今年の目標、このキッチンスポンジで日々の煩悩を拭い去る、、、

それはさておき、毎年元日の拙ブログではその年の干支にちなんだ星座を取り上げているのですが、今年は寅年。
現行48星座には「虎座」はありませんし、過去の西洋星座にもありませんでした。

しかし、虎が棲息する地方の星座には「虎座」があるのではないかと探してみると、ビルマ(ミャンマー)の古い星座絵にトラが描かれていることがわかりました。

下図は、「星の手帖 Vol.53 特集-星座」の「ビルマの星座 付・東南アジアの星座/西山峰雄」に掲載の写真(井上隆雄氏提供)から拝借したものですが、画像下端の2羽の水鳥の右上に「虎」が描かれていることがわかると思います。
ビルマの「虎の星座」    2022年1月1日 あけましておめでとうございます。_d0163575_07221137.jpg
この星座絵は、ビルマ第2の都市マンダレーの南10kmに位置するアマラプラ近郊の寺院「チャウトージー(Kyauk Taw Gyee Pagoda)」の天井に描かれた3種類の星座絵図のうちのひとつです。

チャウトージー寺院は、ビルマ最後の王朝であるコンバウン王朝(1752年 - 1886年)の第10代王ミンドン(1853年 - 1878年)が建てたもので、年代的には比較的新しい寺院ですが、星座絵のモチーフとなっているものは、インドのヴェーダ神話やヒンズー教に由来するもので、星座絵の成立年代は筆者(ブログ主)にはよくわからないものの、ある程度遡ることができる古い星座絵ではないかと思います。
ビルマの「虎の星座」    2022年1月1日 あけましておめでとうございます。_d0163575_06261913.jpg
「虎座」は現行星座では「おとめ座」の位置に当たり、虎の眼に星が描かれていますので、この眼は「スピカ」であろうと推測します。 チャウトージー寺院の3種類の星座のうち、トラが描かれている星図はひとつのみで、他のひとつにはトラに代わって「手のひら」が描かれ、もうひとつは何が描かれているかわかりません。

星座絵は、トラのほかに「孔雀」「象」「6匹の雛鳥(昴)」「猿」「船と漁師」「馬」「法螺貝」「金盃」などの動物や器物のほかに「知恵」「心」「親交」「死生」などの精神を現した星座もあります。

「ビルマの星座 付・東南アジアの星座/西山峰雄」には、チャウトージー寺院の星座絵のほかに「イェーザジョー寺院」「タウングー寺院」の星座絵も紹介されています。

「イェーザジョー寺院」の星図には「象」「漁師」「髪飾り」「天秤」「蟹」「からす」など九つの星座と「太陽神の乗り物」「月神(と思われる)の乗り物」「昴」が描かれ、「タウングー寺院」の星座絵では「漁師」「豹」「亀」「ワニ」「牡牛」「馬の頭部」「帆船」「(昴を表す)ひよこ」など多くの星座のほかに、孔雀が描かれた「太陽神の乗り物」と兎が描かれた「月神の乗り物」も描かれています。

「タウングー寺院」の星座絵は、図の上部に「インドラ(帝釈天)」が描かれ、左右に四天王を配してヒンズー教の宇宙観を表している、とのことです。

なお、「ビルマの星座 付・東南アジアの星座」では、ビルマの星座のほかに、カンボジアやモンゴル、タイ、インドネシア、ネパール等アジア各国の星座についても言及されていて、カラー図版で「バリ島のウク暦(カレンダー)」も紹介されています。このカレンダーにも「虎座」が描かれています。

by iruka-boshi | 2022-01-01 12:54 | 星の本・資料/星空 | Comments(0)