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全天星図(改訂新版) 村上忠敬/村上処直 昭和33年

遠くにアーチ構造の橋を望み、両岸には石造りの建物を思わせる家並み。
手前の橋上には灯りがともり、人物二人を浮かび上がらせています。
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中空にはペガスス、水瓶、クジラなどの秋の星座、左側の東の空にはオリオンやスバルの冬の星々も姿を現してきています。
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漆黒を背景に黄色の描線が鮮やかに浮かんで星空の静謐さをいっそう際立たせ、郷愁を誘う情感溢れる星座風景を現出しています。

ノスタルジックな星空風景は裏面にも描かれていて、黄色の鉄塔上で小熊、大熊、龍の星々が静かに静かに北天を巡っています。
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村上忠敬氏の「全天星図」は昭和9年に最初の版が出され、その後数回の改訂を経て昭和33年に氏のご子息処直(すみなお)氏との共著で「改訂新版 全天星図」が出されました。
この経緯は「序言」にも書かれていて次のとおり。

『全天星図の初版を世に出してから既に二十余年の歳月が流れ、その間に改訂新版や戦後縮刷版など幾度びか少しずつの改修を施した。最近肉眼恒星図の需要が急激に拡大するにつれて、本書の星座境界線を国際天文同盟案のものに統一してもらいたいとの声が高まってきた。(以下略)』

そのため、長男処直氏の協力のもとに星図を描き直して境界線を変更するとともに、恒星の光度も若干修正し、4等星までのすべてと5等星の主なものを加えた、とのこと。
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また、初版にあった「各星座とその著しい天体案内」を補訂して復活掲載したということで、この部分に20ページを費やして星座の位置(場所)、星座創作者、星座中の明るい恒星の等級とスペクトル型、主な変光星と星雲・星団の紹介がなされています。
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星図は北天と南天を含めて全部で5枚、最微星は6等星ですがすべてが書き込まれているわけではありません。目次は以下のとおり。

北半球図(検索図)・・・表紙見返し2頁
タイトルページ 白鳥座の中心部 星野次郎氏撮影
序言      ・・・本文1頁 1955年5月24日 著者しるす
目次      ・・・・3頁
星座索引表(学名アルファベット順,和名対照)・・・5頁
恒星固有名索引表・・・・・・・・・・・・・・・6頁
解説
第一章 天球とその回転・・・7頁
第二章 星座と恒星天・・・10頁
第三章 太陽系の天体・・・13頁
星図
北天・・・・・・・・・・・・第1図版
赤道帯24h-16h・・・・・・・第2図版
赤道帯16h-8h・・・・・・・・第3図版
赤道帯8h-0h・・・・・・・・第4図版
南天・・・・・・・・・・・・第5図版
各星座とその著しい天体案内・・・17頁
奥付
奥付裏1 新天文学講座 全15巻広告
奥付裏2 天体観測シリーズ 全12巻広告
奥付裏3 恒星社発行の天文宇宙と暦学書の広告
月面案内     ・・・表紙見返し3頁
月面図      ・・・表紙見返し4頁
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ちなみに昭和16年版の目次は、
標題
目次
北半球全圖・・・表紙見返し2頁
星圖檢索用圖を兼ぬ
序言   ・・・本文1頁
目次   ・・・ 2頁
星座原名索引 標準和名對照・・・3頁
附.固有星名索引   ・・・4頁
星座和名索引      ・・・5頁
附.星座和名の採擇に就て  ・・・6頁
第I圖版   ・・・北天 北極を中心として北緯30°までを含む
第II圖版   ・・・赤道帶24h-16h 南北40°
赤經24h-14h   ・・・赤緯南北60°を含む
第III圖版   ・・・赤道帶16h-8h 南北40°
赤經16h-6h   ・・・赤緯南北60°を含む
第IV圖版   ・・・赤道帶8h-0h 南北40°
赤經8h-0h-22h   ・・・赤緯南北60°を含む
第V圖版 南天    ・・・南極を中心として南緯30°までを含む
解說 並びに本書使用上の注意  ・・・本文1頁
第一章 天球とその廻轉   ・・・1頁
第二章 恒星天と星座   ・・・6頁
第三章 太陽系の天體   ・・・9頁
星座とその著しい天體案内   ・・・13頁
星座槪說及び各星座中の主な恒星・星團・星雲等の說明
月面案内   ・・・31頁
月面圖   ・・・表紙見返し3頁
-----------------------------------------------------
昭和22年版の目次は、
標題
目次
北半球圖(檢索圖)   ・・・表紙見返し2頁
序言         ・・・本文2頁
目次      ・・・2頁
星座索引表(學名アルフアベツト順,和名對照)  ・・・3頁
恒星固有名索引表    ・・・・6頁
第一章 天球とその回轉  ・・・・7頁
第二章 星座と恒星天   ・・・・9頁
第三章 太陽系の天體   ・・・13頁
北天・第I圖版
赤道帶0h-8h・第II圖版
赤道帶8h-16h・第III圖版
赤道帶16h-24h・第IV圖版
南天・第V圖版
月面案内   ・・・表紙見返し3頁
月面圖   ・・・表紙見返し4頁

「全天星図」の再版・改訂版等は次のとおりですが、すべてに目を通したわけではありませんので、少し曖昧さを残しています。

▼全天星図 恒星社 昭和9年 30頁 図版5枚 大きさ31cm

▼全天星図 恒星社 昭和15年 初版 31頁   大きさ31cm
▼全天星図 恒星社 昭和16年 訂再版 30頁 大きさ31cm

▼全天星図 恒星社 昭和22年 訂再版 図表1冊 大きさ26cm
▼全天星図 恒星社厚生閣 昭和22年 訂再版 32頁 大きさ26cm
▼全天星図 恒星社厚生閣 昭和22年 訂再版 16頁 図版10枚 大きさ26cm

▼全天星図 恒星社厚生閣 昭和24年 再版 16頁 図版10枚 大きさ26cm

▼全天星図 恒星社厚生閣 村上忠敬/村上処直  昭和33年 改訂新版 36頁 大きさ30cm
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昭和15年版 「新版 全天星図」の本体と函  ↑

全天星図(改訂新版)
昭和33年7月15日 初版発行
昭和44年9月30日 6版発行
著者 村上忠敬/村上処直
発行者 志賀正路
発行所 株式会社恒星社厚生閣
印刷 玄真社印刷/千代田平版社
30×21.5cm 定価850円
(元期1925.0 最微星5~6等の一部)

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なお、共著者の村上処直氏(1935年-)は横浜国立大学工学部建築学科卒業の都市計画・防災の専門家で我が国の都市防災の第一人者。

全天星図共著の頃は在学中あるいは卒業前後だったのではないでしょうか。

(追記)
昭和15年版の奥付と目次は次のとおりです。

昭和15年版の「全天星図」の奥付

昭和十五年四月十三日印刷
昭和十五年四月十六日発行
著者 村上忠敬
発行者 東京市芝区南佐久間町二ノ四 土居客郎
印刷者 東京市麹町区五番町十二 谷口熊之助
発兌  東京市芝区南佐久間町二ノ四 振替口座東京六四七三八番 恒星社
発売  東京市麹町区六番町六番地 振替口座東京五九六〇〇番  厚生閣
定価 三円八十銭

昭和15年版の「全天星図」の目次
北半球全図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・表紙2頁
序言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本文Ⅰ頁
目次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Ⅱ頁
星座原名索引 標準和名対照・・・・・・・・・・・・・・・Ⅲ頁
附 固有星名索引・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Ⅳ頁
星座和名索引・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Ⅴ頁
附 星座和名の採択に就て・・・・・・・・・・・・・・・・Ⅵ頁
北天・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第Ⅰ図版
北極を中心として北緯30°までを含む
赤道帯 24h-16h 南北40°・・・・・・・・・・第Ⅱ図版
赤経24h-14h 赤緯南北60°を含む
赤道帯 16h-8h 南北40°・・・・・・・・・・・第Ⅲ図版
赤経16h-6h 赤緯南北60°を含む
赤道帯 8h-0h 南北40°・・・・・・・・・・・・第Ⅳ図版
赤経8h-0h-22h 赤緯南北60°を含む
南天・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第Ⅴ図版
南極を中心として南緯30°までを含む
解説並びに本書使用上の注意・・・・・・・・・・・・・・・・本文1頁
第一章 天球とその回転(1) 第二章 恒星天と星座(6) 第三章 太陽系の天体(9)
星座とその著しい天体案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・13頁
星座解説及び各星座中の主な恒星・星団・星雲等の説明
月面案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31頁
月面図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・表紙3頁
by iruka-boshi | 2013-06-02 15:55 | 星の本・資料 | Comments(0)