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日本平プラネタリウム No.5 /日本平観光天文センター

両面印刷の三つ折パンフレットで広げたときの大きさは、21cm×44.5cmです。

おもて面は富士山・火星図・観光天文センターのイラストと「今月の星空(春の星座)」、それに画像ではカットしましたが「御観らん案内」です。
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裏面は「太陽のまわりの金星の動き」「日本平のプラネタリウム」「日本平観光旅行案内」「日本平プラネタリウム今年前半の予定」となっています。

「御観らん案内」の一部を転記しますと、「1回の収容人員 座席150名/開演時間 第1回午前10時より 最終回午後5時より/夏期(7月1日より9月15日まで)最終回午後8時より/御観らん料金一般大人50円 学生40円 小人30円 団体50名様以上1割引 100名様以上2割引」とのこと。
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「日本平プラネタリウム今年前半の予定」は、3月11日~4月10日春の星座・太陽の動き(黄道十二星座)/4月11日~5月10日春の星座・南極の星空(越冬隊の働らき)/5月11日~6月30日初夏の星座・二千年前の登呂の星空(際差運動の話)、です。

因みにこのパンフレットには発行年が書かれていませんが、「日本平観光旅行案内」の文面に利用交通手段のひとつとして『新東海号』(1959年(昭和34年)9月22日から1961年(昭和36年)10月1日まで東京駅-名古屋駅間で運行された全席指定の準急列車)を挙げていますので、発行は恐らく1961年の春頃だろう、と推測します。(プラネタリウム運営開始の年と第1号発行年がわかりませんのであくまでも推測です/プラネタリウム機材の納入は1959年)

日本平観光天文センター天文台は、富士観光会社が観光用に作った天文台で、観光用以外ではのちに小惑星「みずほ」を発見した浦田武氏らが主に彗星観測に使用していました。

建物の1階は土産物売り場と無料休憩室、二階は500人席の大食堂、プラネタリウムは三階で五藤光学M-1型の2号機が収められています。ドーム直径10m、130~150人収容。
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天文台は1961年完成で6mドームに五藤光学20cm屈折の1号機を設置。屋上展望台には世界最大と謳われた五藤光学製・地上用観光望遠鏡(口径30cm・長さ5.5m)が置かれていましたので、実際にご覧になった方は今でもその巨大さを覚えているのではないでしょうか。

このパンフレットにも『展望台には世界最大の観光望遠鏡をはじめ各種の望遠鏡があります。』と記されていますが、残念なことにその大きさなどは書かれていませんので、巨大望遠鏡はあるいは同じく五藤光学の口径20cm・全長6mのマンモス型地上望遠鏡だったかもわかりません。(画像は、日本の天文台/誠文堂新光社・月刊天文ガイド別冊 より)

「日本の天文台」の55Pより日本平観光天文センターの写真を一部拡大します。天文台のすぐ横にテレビ塔が聳え、画面奥には清水港と遠くに富士山が見えています。
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この天文台が置かれた日本平山頂の南斜面には31cmF/5.6反射鏡を収めた浦田武氏の「ヤキイモ観測所」も設置されていて、1978年3月12日に同望遠鏡でP/Gehrels3彗星を撮影したプレート上で小惑星「(2090)Mizuhoみずほ」が発見されました。「みずほ(瑞穂)」は日本のアマチュア天文家が発見した最初の小惑星で発見時の光度は15等級でした。

日本平観光天文センターは駿河路観光の名所に位置し、大勢の観光客や修学旅行生で賑わっていましたが、1980年頃に閉鎖されたとのこと。詳細は不明です。
by iruka-boshi | 2012-10-03 13:58 | プラネタリウム | Comments(0)