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Der Einsteinturm in Potsdam

全31ページの小冊子ながら、アインシュタイン塔建設に至るまでの経緯や設計者メンデルゾーン(1887-1953)の人となり、建築中の様子、完成後のさまざまな出来事などが要領よく纏められています。・・・、と言ってもドイツ語ですので読めるわけではなく、ページごとに添えられた豊富な写真を見ながら、書かれていることを想像するという超読書法による感想です。
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この塔は1921年から24年にかけて建てられ、ドイツ表現主義建築の代表とされています。アールヌーボー様式の流れを汲んだデザインは少し奇抜すぎる感もしますが、映画芸術などではなく、建築に表現主義を取り入れるとこのような形になるのだなあ、となんとなく納得です。

当時としては新しい建築材料だったコンクリートを多用しています。
しかし、コンクリートだけでは技術的に無理なところもあり、一部にレンガを使っているそうです。
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建設中のアインシュタイン塔。正面玄関側より撮影。(1921)
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玄関前のポーチに立つアルベルト・アインシュタイン(1921)
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連合軍の爆撃により破壊されたアインシュタイン塔と復興後の姿。(1945/1950)
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光路図/塔の最頂部のドームには望遠鏡ではなく、シーロスタットと呼ばれる2枚の平面鏡が設置されている。このシーロスタットによって塔内に導入された太陽光は、塔の最下部で直角に折り曲げられて分光観測される。

このアインシュタイン塔、最初は奇異に感じるのですが、見慣れてくるとなかなかいいなあ、と思えてくるのが不思議です。

金属の輝きとコンクリートの質感に違和感はありません。
それに曲線を描きながらも安定感を持った玄関廻りと、その上にスックと立ち上がる塔部分に、恐竜の脚を思わせる力強さを感じます。

設計者エーリッヒ・メンデルゾーン34才のときの作品であり、彼が世に出るきっかけとなった建築作品です。



Der Einsteinturm in Potsdam
11.5×17.5cm/31ページ
DKV-KUNSTFUHRER NR.588/1
Erste Auflage
Deutscher Kunstverlag GmbH Munchen Berlin
by iruka-boshi | 2011-06-10 14:27 | 天文台 | Comments(0)