週刊朝日 緊急増刊 人工衛星 昭和32年(その2)
「緊急増刊 人工衛星」の目次
記事の大半は大陸間弾道弾と各種ミサイルの解説(開発の歴史と現状・技術的解説・日本のミサイル開発について等)、人工衛星と大陸間弾道弾の関係の説明、衛星打上げが外交に及ぼす影響などで占められています。
また、打上げ時のアメリカの慌てぶりやその後の政策的対応、アメリカのバンガード計画の解説、わが国での衛星観測の様子(ムーンウォッチ計画)などで誌面が構成されています。このようなことから、「スプートニク特集」ではなく「人工衛星」のタイトルになったものと想像します。
スプートニクに関する記事は、プラウダ紙・タス通信・モスクワ放送などの発表したものに基づいており、独自の取材によるものはないように思われます。
しかし、これは当時としては仕方がなかったことでしょう。さらには、衛星の打上げはある程度予測されていたものの突然であったことと打上げから緊急増刊号発刊までの間に余裕がなかったこともスプートニク自体の記事が少ない要因のひとつと思われます。
さまざまな制約のなかで発刊されたであろうことは容易に想像できますが、それにもかかわらず「科学朝日編集部」による「二十六億人を驚かした五十八センチの球体」の解説記事と打上げ当日から10月23日までのソ連側の発表を掲載した「スプートニク日誌」は貴重な記録といってよいと思います。
女性観測員
「ノボシビルスクの「航空写真測量および製図」専門学校では、女性観測員もまじえて、望遠鏡観測をつづけている。」
右は、「リボフ国立大学の無線電信室では、人工衛星が送るピイッ、ピイッという電波をキャッチし、録音する」
この稿もう少し続きます。