科学知識 11月号 昭和8年発行

この表紙の絵、私は長い間、花火を図案化したものと思ってました。しかし、よくよく見るとこれは菊の花。葉も二枚描きこまれています。

バックが黒であるためなんとなく夜空に浮かぶ大きな花火を連想し、そのまま花火として認識していたのでしょう。何度も見ていたはずですが、気がつきませんでした。絵の右上に「SUGIURA ひすゐ」とサインがあります。
d0163575_2024569.jpg

杉浦非水(1876-1965)は、明治・大正・昭和に活躍した図案家で、近代日本のグラフィックデザイナーの先駆け的存在です。

当初日本画家を志していましたが、東京美術学校在学中に洋画家の黒田清輝の指導を受けて図案家へ転向し、多くの雑誌にアールヌーボー様式を取り入れた表紙画や挿絵を発表しました。また、ポスターや煙草のパッケージデザインなどの商業美術の分野でも目覚しい活躍を示し、わが国のグラフィックデザインの黎明期を牽引した重要な人物の一人として現代に記憶されています。

さて、「科学知識」ですが、この雑誌は「財団法人 科学知識普及会」の機関誌で創刊号は大正10年(1921年)に出されています。科学知識普及会は、その名のとおり科学知識の普及により国利民福を図ることを目的に設立されたもので、設立企画者は当時、化学工業新聞社の社長であった石原俊明(のちに出版社の国際情報社の社長)でした。

編集長には東京日日新聞の学芸記者枝元長夫が就任し創刊の準備をしていましたが、内容見本を作ったあたりで急遽編集長の任を解かれ、代わりに原田三夫が編集人となり創刊号を出しています。(この稿続きます)
[PR]
by iruka-boshi | 2010-10-25 20:25 | 星の本・資料 | Comments(0)