この日、種子島宇宙センター大崎射場より「極超音速飛行実験機(HYFLEXハイフレックス)」を搭載したJ-1ロケット1号機が打ち上げられました。
ハイフレックスは再利用可能な無人宇宙往還機「HOPE(ホープ)」の開発に必要な誘導制御技術や熱防御技術などの実証試験と各種データ収集が目的の有翼の実験機です。
打ち上げ後、高度110kmでロケットから切り離なされたハイフレックスは、小笠原諸島付近で大気圏に再突入し、マッハ2領域での飛行データ取得に成功しています。
大気圏再突入実験機は、ハイフレックス以前にも打ち上げられていて、1994年2月にH-Ⅱロケット1号機で飛行実験を行った「りゅうせい」があります。この「りゅうせい」が我が国最初の大気圏再突入実験機となっています。
「ホープ」開発ための実験機は、「ハイフレックス」「りゅうせい」のほかに小型自動着陸飛行実験機「ALFLEX(アルフレックス)」があります。アルフレックスは1996年7月~8月にオーストラリア・ウーメラ飛行場で13回飛行実験を行い、すべて成功です。
「アルフレックス」は、「ホープ」実機の縮小モデルで、完全自立飛行が可能。
宇宙往還機開発のための実験機はこの他にも自立飛行実証機「フェーズ1(キリバス・クリスマス島で実施・成功)」や高速飛行実証機「フェーズⅡ(フランスと共同でスウェーデンにて実施・成功)」などがあります。
また、宇宙科学研究所の再突入実験機「(DASH)/2002年2月」や航空宇宙技術研究所の小型超音速実験機の打ち上げ(2002年7月)がありますが、いずれも失敗しています。
この2つロケット打ち上げ失敗以前にも1998年・1999年・2000年と連続してロケット打ち上げに失敗していることなどから、宇宙開発計画の見直しがなされ、やがて「ホープ」の開発は中止になります。
なお、ハイフレックス打ち上げに使用された「J-1ロケット」は、全長33.1m/全備重量87.7tの3段式ロケット(第1段H-ⅡSRBモータ・第2段M-23モータ・第3段M-3Bモータ)で、第1段目は宇宙開発事業団が開発したH-Ⅱロケットの個体ロケットブースターを使用(一部を改良)、第2段目と3段目は宇宙科学研究所が開発したM-3S-Ⅱロケットの上段部を流用したもので、全段個体燃料ロケットです。
従ってJ-1ロケットの「J」は、宇宙開発事業団のH-Ⅱロケットと宇宙科学研究所のMロケットを組み合わせた(JOINTした)の「J」となっています。(実際の打ち上げでは第3段目モータは使われず、この部分はフェアリング部となって「有翼飛行実験機HYFLEX」が搭載されました)
また、J-1ロケットは2号機まで製造されましたが、2号機が打ち上げられることはありませんでした。