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1965年9月12日から10月24日まで、国立科学博物館の1号館3階特別陳列場において渋川春海没後250年を記念して「日本の天文暦学の先駆者・渋川春海展」が開催されました。

・・・ということは、今年2015年は没後300年に当たるのか、というようなことは措いといて、手元にその時の入場券の半券がありますのでUPします。
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大きさは16.5×10.5cmで切り取られた残り半券の大きさはわかりません。
入場券に印刷されている天球儀は渋川春海作のひとつ「紙張子製天球儀」で天球径37cm、天球面の南極付近に1697年(元禄10年)に春海が図を書いたことが記されています。

天球儀には赤道・黄道・銀河などとともに361個の星座(星宿)・1773個の星が記入されていますが、その多くは古代中国の商の巫咸(ふかん)、魏の石申(せきしん)、斉の甘徳(かんとく)が制定したものです。

しかし、このうち61個の星座・308個の星は渋川春海自身の位置観測・研究によって記入されたもので、春海が新たに制定した星座名も記されています。

下の画像は「天文月報 1965年9月号」の「渋川春海没後250年記念特集号」の表紙です。
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この号に渋川春海展の概要が書かれていますので、一部を転記します。

『この特別展は、春海一人の資料ばかりでなく、春海が日本の天文暦学の先駆者として活躍した時代から、現代に至るまでのわが国の天文暦学の変遷がわかるように陳列を計画した』、とのことで、

陳列資料は「春海の系図、年譜、幕府碁所としての春海の碁譜、神道家としての春海の資料」「算法書、算木、算盤など暦算学の資料」「天象列次之図、天文分野之図、天文成象図、南宋天文図、天球図、井口常範作の星図、他星図」「天球儀、地球儀、マテオリッチの世界図、他」「渾天儀、簡天儀、日時計などの観測器具」

「宣明暦、貞享暦、などの暦法関係」「本朝統暦、皇和通暦、日本長暦などの長暦関係」「天経或問、乾坤弁説、秦山集などの書物」その他江戸時代の天文台関係資料等々で、非常に多くの貴重な資料が集められた展覧会であったことがわかります。

さて、天文月報の表紙の天球儀ですが、1673年(寛文13年)に渋川春海が工人津田友正に作製させた銅製天球儀で、「渾天新図(こんてんしんず)」と称されて肥後熊本藩主細川家に伝わってきたものです。

天球の左右の大小の龍形の支柱によって天球南北の中心軸が支えられ、左側の大きい龍の胴部と右側の小さい龍の口で、方位を示す干支が刻まれた地平環が支えられています。

天球上の二十八宿などの主要な星は金銅の鋲で表し、その星座名や星名は金平象嵌で表されています。主要星座以外は銀鋲で表されています。

渋川春海製作の天球儀はいくつか残されていますが、彼が最初の天球儀製作者ではなく、彼以前にも中国から到来した天球儀を参考にして製作した人物がいたことを彼自身が1698年に著した「天文瓊統(てんもんけいとう)」のなかで述べています。

しかし現品は存在せず、1673年製作の「渾天新図」がわが国現存最古の天球儀と考えられています。

(つづきます)
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