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「よいの明星」をアイヌ語で「キムマチスラリル・ノチゥ」という。「ノチゥ」は星ということ。

美しいメノコの許婚者が、獲物を求めて山に入ったきり、何日たっても帰ってこない。メノコは夕方になり、日が落ちるまで、赤く染った西の山をのぞんでたたずんでいた。雪がとけ、春が訪れ、年が七度もかわっても許婚者は帰ってこなかった。
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病気になったメノコは、大きな太陽が真赤な息を西のかなたに休めると時を同じくして果てた。その夜から、日が沈んだ紫の空に金色に輝く美しい星となって天から恋しい人の姿をたずね求めている。

宵の明星は一般にアロヌマンノチゥ(夕暮れの星)あるいはオヌマンノチゥ(夕方の星)という。藻汐草に採録されているキンマチスルグルは「山の妻の無い者」、すなわち「山の独り者」の意であろうと思うが、現在では使われていない。

宵の明星は他にアコチパッテノチゥ(我等それに向って舟を寄せる星「アテ星」)、アコヤウキノチゥ(我等それを目当にする星「アテ星」」)、チポヤンケノチゥ(舟を陸揚げする星「舟仕舞星」)、レッパンチヌカルコル(沖にいて我等を見る者=カムイ「沖のアテ星」)などがある。「アイヌの星/末岡外美夫著/旭川叢書第12巻より」

月と金星の出会いはいつ見ても美しく、期せずして誰もが詩人となる。
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