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カルスト台地平尾台の千仏鍾乳洞の貫入岩  2016年9月1日

千仏鍾乳洞の入洞券販売所に「千仏鍾乳洞 洞内断面図」が掲げられ、洞内名所が紹介されています。
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この「洞内断面図」のほぼ中央に「さざ波天井」と名付けられた場所があります。 ↑

「洞内断面図」のすぐ近くにも鍾乳洞案内図があって、こちらには「さざ波天井」のところに黒い線が引かれて「断層」と書き込まれています。
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・・・で、この「断層」を見に行ってきました。

いくつもの大きな鍾乳石が垂下する洞口を通って ↓ しばらくは、地下水は通路の両側あるいは片側を流れていて足元を濡らすことはありません。
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大石柱や ↑ 天柱 ↓ などの奇岩を目にしながら先へ進むと、やがて「奥の細道」と名付けられた文字通り狭い通路に着き、ここから水路のなかを行くことになります。
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「天柱」、↑ 天井から垂下して来た鍾乳石(つらら石)と下から伸びた「石筍」がつながってできた石柱です。

四季を通じ水温14度といわれる水のなかを進むこと数メートル、ほどなくして「さざ波天井」に到着です。
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この「さざ波天井」の下あたりに水路を横切るようにして、幅60センチくらいの黒い帯があります。
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画像ではちょっと分かりにくいですが、手前の白い部分が石灰岩でその奥の黒いところが案内図にあった「断層」、そのまた奥は濃い灰色に写っていますが、実際は白の石灰岩です。水路を分断するように左右に岩床が走っています。

しかし、これは「断層」というよりも石灰岩の隙間にマグマが入り込み、冷えて固まったもの(火成岩)で「貫入岩」と呼ぶほうが正しいように思われます。

この「貫入岩」より少し奥にも同じような場所があります。 ↓ この画像のほうがハッキリ写っていて分かりやすいと思います。
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幅は最初の貫入岩と同程度です。水路の両側の壁に目をやると一部がフローストーンに覆われているものの、明らかに石灰岩とは異なる岩石が見えています。
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白い部分は石灰岩です。↓ 青み掛かった岩石の名は分かりませんが、「斑レイ岩」あるいは「閃緑岩」のような「深成岩」(マグマがゆっくり冷えて固まったもの)と思われます。ちなみに「火成岩」のうち、急激に冷えて固まったものは「火山岩」と呼ばれています。
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水路の窪んだところにはたくさんの小石が集まっています。 ↓ 色の違いから数種の岩石が混ざっているようですが、岩石名はわかりません。

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小石のひとつを拡大してみます。大きさは5cmほどです。 ↓
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もうひとつ、 ↑ 違う種類と思われる(素人目で)小石を載せます。

平尾台でよく知られた貫入岩に「鬼の唐手岩」の岩脈と「鬼の兵古干(へこほし)」の岩床があります。

いずれも「アプライト(半花崗岩)」で、花崗岩マグマが石灰岩の割れ目に入り込んで冷えて固まったのち、周囲の石灰岩が水や風などで浸食・風化されてアプライトのみが取り残されて出来上がったものです。アプライトは半深成岩または深成岩です。

平尾台の石灰岩層は、古生代の二畳紀前期から中期(2.8億~2.5億年前)のものと考えられています。

そして、その石灰岩層へのマグマ貫入は、中生代の白亜紀後期(9千年前)と考えられていることから、「鬼の唐手岩」や「鬼の兵古干」のアプライトもこの頃に貫入したマグマによるものと考えられます。

それ故に、と言ってよいかどうか分かりませんが、千仏鍾乳洞の貫入岩もその頃に入り込んだマグマが冷えたもの、と言ってよいのではないでしょうか。

ただ、アプライトかどうかは分かりません。(乞う、ご教示、です。)

なお、「平尾台の石灰洞/日本洞窟協会/1982年」によると、千仏鍾乳洞には4ヶ所で貫入岩が見られる、とのこと。

また、千仏鍾乳洞の最奥部は天井の一部が崩落した「芳ケ谷洞」と地下水流で繋がっているため、千仏洞の水路底の小石は外部由来のものも含まれる可能性がある、とのことです。
by iruka-boshi | 2016-09-01 12:35 | Comments(0)