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平成筑豊鉄道/竜ケ鼻/葉山嘉樹

『・・・私は幼心の時代を甲塚と呼ぶ字で育った。そこには畑の中に凸字形の古墳が沢山あった。秋になると櫨の木が黄葉して、甲塚を飾る。甲塚の北の方、今川の流域の平原の傾斜に墓地があった。

この墓地には、私の祖先や子供たちも眠っているが、そこにはいい芝生がある。
幼少時代の私は、その芝生から、今川の流れや、それに沿うて田川地方の炭坑地に走っている鉄道、直ぐ足下の、空と同じ色を映した池、それから五六里の平野を見はるかして、不思議な幻想的な形に横わる竜ケ鼻の山容などを、全半日もほんやりと見とれている事が多かった。

この「竜ケ鼻」と云う山は、いい山である。それは未来永劫、この地球の海面には現はれ得ないだろう巨船の船首である』(葉山嘉樹/「わが郷土を語る」より)


梅雨の晴れ間を利用して八景山の西側中腹(大将山)に立ってみました。

眼下には空の色を映した池ならぬ水を張った稲田、そして視界右端には今川を跨ぐ清地(すがち)大橋。
この橋を抜け左側奥へと伸びる道路は県道58号線でみやこ町勝山へと続いています。

「わが郷土を語る」に登場する「竜ケ鼻」は、視界右奥の「ヘ」の字形の山で、特徴ある山容から一見してそれとわかる大きな台地状の山です。

「竜ケ鼻」は、カルスト台地平尾台の最南端に位置し、標高680.6メートル。

南側は傾斜40度以上の急峻な崖地で容易に近づくことが出来ない岩場ですが、頂上部は「竜ケ鼻台」と呼ばれるススキやネザサの広い草原となっています。画面向こうの小倉南区側は大規模な石灰岩採掘場です。
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上の写真は終点行橋駅を折り返し、金田方面に向かう平成筑豊鉄道412号(新潟トランシス製400型/平成筑豊鉄道400型導入の最終車両/400型導入前に使用していた富士重工業製と同一塗装の車両) 行橋市矢留・清地大橋付近にて撮影

撮影地の後方東側の八景山中腹近くには鶴田知也の文学碑とともに葉山嘉樹の文学碑があり、一帯は6世紀後半に造られた複室構造の横穴式石室を持つ方墳「甲塚古墳」を始めとして六基の古墳群を内包する「八景山自然公園」となっています。
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412号旧塗装車両撮影と同じ場所にて撮影/平成筑豊鉄道・なのはな号

八景山自然公園への来訪は、国道496号と県道58号線が交わる「八景山交差点」脇の八重の石塔「天平の塔」が目印となります。石塔高さは8.43メートルありますので見落とすことはないと思います。駐車場もここにあります。
by iruka-boshi | 2013-06-05 14:30 | 航空機/鉄道/艦船 | Comments(0)