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内村鑑三の星の楽しみ

10月初旬から3日に一度くらいの割合で干し柿用の柿を採り続けて本日ようやく終了。まだかなり残っているのですが、もう手の届かない枝の先のものばかり。

無理して採るほどのことでもないので、採り残しはカメラで収穫です。柿の木4本で多分800個ほど採れたんじゃないかと思います。
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さて本日は柿とは全く関係なく、キリスト教伝道者内村鑑三のこと。

内村鑑三は自身の主宰する雑誌「聖書之研究」の219号(1918年10月10日)から357号(1930年4月25日)まで「日々の生涯」または「一日一生」の題で日記を公開しています。

日記の実際の日付でいうと1918年8月26日から1930年3月22日までです。この日記中、随所に星空観望の記録が出てくることをご存じの方も多いと思います。

星々の観望に関心を示すようになったのは1919年(大正8年)の秋頃からのようで、11月4日の日記に

「・・・米国地理学雑誌今年第八月号所載『蒼穹 栄光の探検』の一篇を大なる興味を以て読んだ、近世天文学の進歩に実に驚くべき者がある、天文学者の望遠鏡に映ずる星の数実に八百万、而して其各(おのおの)が太陽であると伝ひ、而して又宇宙は之を以て尽(つき)ずと伝ふ、(中略)羨むべきは実に普通人の見えざる所に宇宙の深遠を探る天文学者である。」と記しています。

具体的に星座名が出てくる最初は、11月15日の「数日来の陰雨午後に至て漸く晴れた、天文学の復讐が重なる仕事であった、夜に入り晩秋の空晴れ渡りオライオン星の一座の森然として東天より昇るを見る、「荘なる哉」の嘆声を禁じ得なかった、(後略)」で、このあと雨の日は「重なる仕事は星学の復習であった(11月21日)」「終日家に在り天文書を読んで楽み且休んだ、最上の快楽である(11月24日)」という過ごし方をし、晴れていれば星空を見上げるという生活ぶりでした。

そして12月に入ってついに双眼鏡を購入するようになります。

12月1日の日記に「友人より思掛なき寄附ありたれば市中に行き天文書二冊と双眼鏡一個を買求めた、日暮れるゝや否や直に天を覗き、先づ第一にライラ(天琴)星座のヴィガを覗きしに其側(かたわら)に五等星位の連星(バイナリー)あるを認め非常に嬉しかった、

是れ有名なるライラエプシロン号にして連星の各自が復(ま)た連星であるが故に実は複連星であるとの事である、是れ余自身に取りては連星の初めての発見であって言尽されぬ歓喜であった、今より後にシグナス座のベータ号ペルシウス座のアルゴールと順を逐ふて覗くつもりである、冬の夜の好き楽しみである。」と記し、肉眼で見たときとはまた違った姿を見せる星たちに感激しきりの書きようです。

つづきます。
by iruka-boshi | 2011-11-15 21:32 | 星の本・資料 | Comments(0)