わが国の望遠鏡の歩み 昭和39年(その3)

「新しい望遠鏡の部」67点

全67点をメーカー別出品数でみると、

東亜光学 7×25コメット双眼鏡等、2点
明治精光 8×20メナン双眼鏡等、3点
富士写真 3×30フジメイボースポーツ双眼鏡等、6点
興和 TR4Kライフルスコープ4×、BH10×50双眼鏡等、10点
瑞宝光学 8×40ZWCF双眼鏡 1点
日本光学 ニコンスポーツグラス3×双眼鏡等、13点
旭光学 ペンタックス6×15MIF Jupiter双眼鏡等、8点
五藤光学 2.5インチ赤道儀等、3点
東京光学 トプコン7×35双眼鏡等、4点
泰成光学 6×25双眼鏡等、6点
板橋光学 BCFシリウス7×15×35双眼鏡等、3点
服部時計商 7×50CF双眼鏡等、8点  以上、計67点。
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ほとんど双眼鏡で、ライフルスコープとスポッティングスコープが数点、望遠鏡は五藤光学が2.5インチ普及型と7-5観光望遠鏡、旭光学が60mmを出品しています。

「浮世絵、写真、文献類の部」78点

一恵斎芳幾の萬国男女人物図絵、広重の阿蘭陀亜墨利加英吉利国人図、義隣の異国人望遠鏡をのぞく図、上田市立博物館蔵の天球図他天体の図、等々ですが、眼を引くのは、国友梅子、岩橋弥造、羽間平三郎の出品した天体写生図や史料の数々。

例えば国友が天体写生図午2月18日月、6月24日満月の図、テレスコッフ遠鏡月木星試、テレスコッ
フ遠目鏡製作覚など20点、岩橋が中右衛門弟子入誓約書、平天儀図解など9点、羽間が中高鏡一面中高一面平鏡写真之図、阿蘭陀人献上之星見鏡など4点を出品しています。
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ほかには、早大図書館蔵の司天台諸器図、上田市立博物館蔵の和蘭天説、秋岡武次郎蔵の訓蒙天地弁、木村幸吉出品の双眼鏡商新年宴会の写真、石田清一出品の国産双眼鏡の性能について、などです。出品78点のうち25点ほどが浮世絵で、その多くが異人と異人館を描いたものです。写真はリストの品名を見る限り「双眼鏡商新年宴会の写真」の1点のみのようです。

「書籍、カタログ類の部」63点

穂積善太郎出品の望遠鏡の作り方/広田栄三・長沼恭一著、小森幸正出品の反射望遠鏡の作り方/中村要著、同じく小森幸正出品の天体望遠鏡の作り方/山崎正光著、国立科学博物館出品の望遠鏡と顕微鏡の作り方/田辺敏郎著、などの書籍類と、日本光学、東京光学、西村製作所、小糸製作所、Zeiss、KRAUSS、Buschなどのカタログが掲載されています。
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カタログ類では他に服部時計店の双眼鏡のカタログが6点(昭和2年~昭和7年)、アース光学の双眼鏡・その他のカタログ1点、安西俊治商店の双眼鏡・その他のカタログ1点、W.Watson & Sonsの双眼鏡カタログ1点などが載っています。

このうち、W.Watson & Sonsはイギリスの古いカメラメーカー、安西俊治商店は詳細不明というかメーカー名か販売店名かさえ全く知らないところ、アース光学はもしかして戦前に超小型カメラを作っていたところ?

全く意味はないのですが、個人出品の分でそれぞれの出品数を数えてみました。以下のとおり。
石黒敬七・・・69点
木村幸吉・・・30点
渡辺紳一郎・・28点
国友梅子・・・21点
河原栄一・・・20点
小森幸正・・・17点
岩橋弥造・・・12点
五藤斎三・・・12点
羽間平三・・・9点
木辺成麿・・・6点
茅原元一郎・・6点
後藤定吉・・・5点
以下略、石黒氏がいかに多いことか。

ちょっと残念で不思議なことは、「新しい望遠鏡の部」67点のほとんどが双眼鏡であること。

この「わが国の望遠鏡の歩み」が開かれた昭和39年にはすでに西村製作所の15cm反射赤道儀やアストロ光学の各種望遠鏡も発売されていたし他にも光学メーカーはあったはず。

五藤光学の20cm赤道儀は大きすぎて無理だったかもわかりませんが、6cm学習型や7.5cm標準赤道儀などは搬入可能にもかかわらず展示されていなかったのはなぜか。出品の基準があったのでしょうね、多分。販促につながるようなものはダメとか、日本望遠鏡工業会に属していないところは無理とか。

しかし、「天体望遠鏡(明治以降)の部」で「ウラノス号」を展示したのであれば「アポロン号」や「コメット号」「エロス号」なども出してほしかった。


ガリレオ・ガリレイ生誕四百年記念特別展
わが国の望遠鏡の歩み 出品目録

主催:国立科学博物館/日本望遠鏡工業会
期間:昭和39年8月23日から昭和39年9月23日まで
会場:国立科学博物館一号館 特別陳列場

出品目録:B4用紙片面孔版印刷で22ページ
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天界14号/通第312号(昭和24年)より
エロス号屈折望遠鏡広告/天体望遠鏡備付計画に際しては、文部省より緊急度(A)に指定せられた五藤式屈折望遠鏡を研究せられよ。・・と書かれています。

定価四万円/口径63粍・倍率天体用23×36×72×150×、地上用30×・天頂ブリズム・太陽投影機及サングラス・ファインダー付
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by iruka-boshi | 2011-07-23 15:11 | 星の本・資料 | Comments(2)
Commented by なつひこ at 2011-07-27 23:31 x
五藤光学の広告 この頃の 天文と気象の一番後にも
似た様なイラストが描かれてますね。
しかし 当時4万円とは当時としては、途方も無く高いですね。庶民には、高嶺の花ですね。
Commented by iruka-boshi at 2011-07-29 16:52
コメントを有難うございます。
おっしゃるように定価4万円というのは、途方も無く高額ですね。この望遠鏡を買う・買わないを別にして戦後の理科教育の変更に伴なって高額な教材を導入しなければならなかった当事者にとっては大きな問題だったことでしょう。