星座早見 上製 平山信監修 昭和14年
画像は昭和14年6月発行の第59版ですが、基本的デザインは当初からほとんど変わってないようです。
現在の星座早見盤は星座盤と窓をくり抜いた円盤の2枚からなるものが主流ですが、この早見盤は星座盤とこれを挟む2枚の盤(台紙)から成る三重構造になっています。
台紙は中空になっていてこの間に星座盤を挟むわけですが、表側は四つの突起を残して円形にかたどられ、裏面は四角形の台紙をそのまま残したデザインです。
四隅の突起のうち三つに窓があってそれぞれ夕方6時、夜12時、朝6時と印刷され、残りのひとつに「南」と印刷されています。星座盤の周囲には月日が印刷されていますので、この窓に任意の月日を合わせてその日の星空を知る仕掛けです。
ちなみに星座盤の一番外側円周に一等星、二等星、三等星以下、変光星、星雲を表す星丸が描かれ、次の内側円周に1月から十二月が等分印刷され、さらに内側が二日置きの日にちの区分帯となっています。
「子供の科学」昭和13年9月号に掲載された「星座早見」の広告。
「直径八寸五分 回転式堅牢」と書かれています。広告をよくよく見ると全体のデザインは一緒ですが、「星座早見」の文字を囲む模様が流星か彗星をイメージしたような絵柄で、本日の画像の早見盤の絵柄と異なっています。よくわからんのですが、上製と並製の違いでしょうか。それともデザイン変更なのか。
7月13日夜9時の星空に合わせた早見盤。
金色の型押し文字とグレーかかった青、それに漆黒の星空に黄色の星々の組み合わせが秀逸。
「星座早見」の文字の右側、2匹の蛇と翼のついたケーリュケイオンと呼ばれる杖を持つ伝令の神ヘルメスが水星を表わし、左側の盾を持つ神は軍神マルスで火星を表わしているのか。しかし、女性のようでもあるので、あらゆる邪悪・災厄を払う盾(イージス)を持つ女神アテナなのだろうか。
星座早見 上製
平山信監修
日本天文学会編
発行者:三省堂
印刷者:三省堂蒲田工場 代表者 喜多見 昇
明治四十年九月五日 印刷
明治四十年九月十日 発行
大正五年四月二十九日 十版発行
大正九年八月一日 十五版発行
大正十五年(不明)日 二十五版発行
昭和二年八月一日 三十版発行
昭和四年五月五日 三十九版発行
昭和七年十二月十五日 四十一版発行
昭和十年五月二十日 五十版発行
昭和十二年六月二十日 五十七版発行
昭和十三年六月二十五日 五十八版発行
昭和十四年六月二十五日 五十九版発行
定価:金一円弐拾銭/径26cm/裏面は、目的、構造、使用法の説明と所載の星座名一覧表
ご覧のように何度も版を重ねたロングセラーです。
早見盤の裏側
台紙の中を星座盤が通っているのがわかるでしょうか。
裏面には丸で囲まれたなかに「新撰恒星図」平山信監修/日本天文学会編/三省堂 の広告が印刷されている。この星図は「掛け軸」になったものです。
(いるか書房本館・宇宙・天文、追加しました。)