金星日面経過観測所風景 1874年(THE ILLUSTRATED LONDON NEWS.1875年)

「THE ILLUSTRATED LONDON NEWS. JAN.23.1875.」の73ページに掲載された「金星日面経過観測所」で、マダガスカル島の東約900kmに位置するモーリシャス諸島に置かれた観測所とハワイのホノルルに置かれた観測所が描かれています。
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画面の中央あたり、5人が並んでいるところから下半分がサンドウィッチ諸島(ハワイ諸島)ホノルルの観測地風景です。上半分は、ジェームズ・リンゼー卿のモーリシャス観測所風景。

この号が発行された前年、1874年12月9日に金星が太陽の前面を横切るというかなり珍しい現象が見られました。

当時、地域的に観測条件が不利であった欧米各国は、より条件の良い土地を求めて世界各地70ヶ所あまりに観測隊を派遣し、わが国にもアメリカ・フランス・メキシコの観測隊が来日して長崎・横浜・神戸で観測を行っています。

金星日面経過はおよそ130年に一度見ることができ、そのあと8年を置いてもう一度見ることができます。過去の現象年度を記すと次のようなにります。

1631年とその8年後1639年、1761年とその8年後1769年、1874年と8年後の1882年。そして一番近いところでは、2004年に金星日面経過が見られています。その8年後にも見ることができますので、次回は2012年です。その次となると2117年と2125年です。

さて、イギリスではこの130年に一度の天文現象観測に際し、世界5ヶ所に観測隊を派遣しました。サンドウィッチ諸島(ハワイ諸島)・エジプト・インド洋ロドリゲス諸島・南インド洋ケルゲルン諸島・ニュージーランドの五地点です。このうち、サンドウィッチ諸島にはジョージ・リヨン・タップマンを隊長としてF.E.ラムスデン、E.J.W.ノーベル、J.W.ニコルら7名が渡航、ホノルル・カイルア・ワイノメの三地点で観測を行いました。

ちなみにエジプトではチャールズ・オード・ブラウンを長としてカイロ近郊、アレキサンドリア、スエズの三地点で観測。ロドリゲス諸島では、チャールズ・バーナビー・ニートが長となり、ロバート・ホーガンら数名が観測。ケルゲルン諸島にはスティーブン・ジョセフ・ペリーら数名。ニュージーランドではクライストチャーチにて数名が観測をしています。

イギリスが公式に派遣したこれらの観測隊とは別に個人の資格で観測に臨んだ天文家もいました。イギリス貴族のジェームズ・リンゼー伯爵がその人で、天文家デービッド・ギルとともにモーリシャスで観測を行っています。

リンゼー卿は、スコットランドのアバディーンシャーに個人天文台を持っていて、当時、最も重要な天文学文献を多数収蔵した「Bibliotheca Lindesiana」を創り上げていました。デービッド・ギルは、この個人天文台の時計を管理保持したことが縁で時計技師から天文家へ転身した人物で、のちに南アフリカの喜望峰の天文台で南天の写真観測を実施し、その成果をヤコブス・カプタインとともに纏めて1882年に「ケープ写真掃天星表」として発表しています。
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右端の人物がサンドウィッチ諸島の観測隊長、ジョージ・リヨン・タップマン。
下の画像はホノルル観測所風景。
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「THE ILLUSTRATED LONDON NEWS. JAN.23.1875.」の73ページ/裏面の74ページは観測所と観測時の様子の記事(英文)
28×41cm/裏表1枚(73ページ・74ページ)/木口木版印刷

(ホノルルでの観測の詳細はここにあります。)
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by iruka-boshi | 2011-04-08 07:45 | 星の本・資料 | Comments(0)